チューターインタビュー
2010年度も、全国各地の多くの受験生が、東大合格という栄冠を勝ち取りました。
厳しい受験戦争を生き抜いてきたからこそ、東京大学に入学したからこそ、後輩たちに伝えたい思いがあります。
ここでは、東大ダイレクトチューターの中から、2010年度東大合格者のインタビューを一部を順に紹介します。晴れて東大生となり、これからは「全国各地の学生の良き先輩」として後輩指導の使命感に燃える東大ダイレクトチューターの、生の声をぜひお聞きください。


Vol.4(2010/12/31)
『こだわる姿勢』の大切さを伝えたいです。

中 強修さん(大阪府立岸和田高等学校 大阪府)【自己紹介】

<高校時代についてお伺いします>

中さんが大阪岸和田高校に行こうと思ったきっかけは何ですか?

もともと、大阪府で最も偏差値の高い公立高校である天王寺高校の理数科への進学が第一志望でしたが、不合格となりました。
他に私立で近畿大学付属和歌山高校、西大和高校、清風南海高校に合格していましたが、私立に進学するのは嫌であったため、家から近く、学区内で最も偏差値の高い公立高校である岸和田高校へ進学することに決めました。

母校はどんな高校でしたか?

生徒の自主性に任せた、自由な校風でした。
大半の生徒が何かしら部活に所属し、毎日活動に励んでいます。
基本的にどの部活も、引退するのは3年生のときです。
また、体育祭や文化祭の準備に1ヶ月近くかけるなど、イベントにも熱心な生徒が多かった印象があります。
僕の見た限りでは真面目な生徒が大変多く、部活引退後からの受験勉強に対する姿勢は、どの高校の生徒よりも熱心だったと思えるほどでした。

学習・受験面では、地域性として浪人を嫌がるため、進学率が70%という、公立の進学校としては高い数字になっています。
僕の代から、スーパークラス(通称)が文理で一つづつ設けられました。
これは、1年生のときに希望者から成績優秀者の選抜を行い、2・3年の2年間を同じクラスで過ごす、特別進学クラスのようなものです。
僕の代は特に理系のスーパークラスが優秀で、9人が京大を受験し8人が合格しました。また国公立医学部にも3人の合格者を出しました。
僕は文系のスーパークラスに所属していましたが、進学実績はそれほどよくなく、京大が1人と阪大が数人、そして僕が東大を受験して落ちました(汗)
スーパークラスとはいえ、特別な授業はあまりなく、単に優秀な人間が集まっただけ、という見方も可能です。そういう意味で、競争意識を促すことには成功していたかも知れません。
しかし、僕の一つ下の代(現役ならば今は大学1年生)から、学区併合により、同じ学区に京大合格者を毎年20~30人も輩出するような高校(三国高校)が存在するようになったため、同学区の優秀な学生が三国高校に流出するようになりました。
それゆえ、いま岸和田高校の進学実績は、進学校としては危機的な状態になりつつあると思われます。
参考までに、僕の代の現役合格者が京大10人、阪大20数人、神大10人ほどだったのが、一つ下の代では、京大2人、阪大が一桁となっています。(記憶は曖昧ですが)
毎年1人は東大を受験する者がいたのですが、下の代はいなかったようです。

高校生活で一番思い出に残っていることは何ですか?

いろいろありすぎて一つに決められません(笑)
文化祭や体育祭、部活の最後の試合などのイベントの他にも、毎日早朝や放課後に人を集めて勉強会や授業をしたり、ひとつひとつがどれも思い出に残っているものです。
他の高校とは違う何かを言うとすれば、修学旅行ですね。行き先はハワイです(笑)
公立高校にしてはリッチな感じですが、海で泳いだり山に登ったり英語で現地の人と会話したり、楽しかったです。
大阪府知事に橋下徹さんが就任してから、節約政策により、行き先は台湾になったようです。
また、恋愛面では、僕が受験勉強に集中するあまり彼女とあまりコミュニケーションをあまりとらずフラれたことも、今となっては良い思い出です(笑)

<受験勉強についてお伺いします>

中さんは、なぜ自分は東大に合格することができたと思いますか?

誤解のないようにいっておくと、岸和田高校において文系の東大合格者は十数年ぶり、僕の住んでいる田尻町では東大合格者は戦後初の東大生(らしい)です。僕が合格する1年前にも、岸和田高校では理系の合格者がいます。地域でも、大阪市内の進学校に通っている人などは毎年何人かは東大に合格してると思います。

能力に関しては、僕より優れている人は高校内に何人もいました。
実力テストや全国模試等では、僕は文系で校内2位や3位になることも、しょっちゅうでした。理系でも僕より偏差値が高かった人が多くいます。
そのため、単純に東大を目指していたのが僕だけ、というのが理由かもしれません。
それはやはり、関西であるため、東大の情報が少ない、東大に知り合いがいない、ということが原因だと思います。
情報がないために、『自分には東大は難しすぎる』『東大には興味がない』といって、そもそも東大を目指そうとしないのです。
そのなかで僕だけが東大を目指しつづけた、それだけじゃないかと思います。
潜在的に東大に合格できる人はもっといるのではないかと感じます。

受験勉強を通じて最も大変だったことは何ですか?そしてそれをどのように克服しましたか?

現役のときは特に、周りに東大を目指す者がいなかったため競争相手がなく、孤独さゆえにモチベーションの維持が大変でした。また、いくら勉強しても果てしない感じがあって挫けそうにもなりました。
しかし、それでも高校や塾の仲間と共に勉強することでモチベーションを維持しました。また、勉強のことに関しては周りが教師よりも僕を慕ってくれていたこともモチベーションの維持につながりました。あとは、「俺は東大に行く!」と公言することで、退くに退けない状況をつくっていましたね(笑)
また、浪人は生活リズムもその人自身にゆだねられるため、早起きなど生活面の自己管理が大変でしたが、勉強に対するモチベーションの向上は生活リズムを整えることにも役立ちます。
受験勉強は一人でやるよりも、仲間とやったほうが絶対良いです。

受験勉強をする上で一番大切なことは何だと思いますか?

こだわること、あきらめないことです。
受験勉強はつらいもので、「どうして私はがんばっているのだろう」と思うことがよくあります。「こんなにがんばらなくても、◯◯大学にはいけるじゃないか、そこでも十分いい大学じゃないか」なんて思い始めることもあります。
たしかに、東大の文一に行かなくたって官僚になれます。法学部じゃなくたって弁護士になれます。高卒だって社長になれます。中堅私立出身者と東大出身者が肩を並べて仕事をすることも多々あります。その大学のその学部でなければいけない理由なんてないといってもいいかもしれません。
しかし、あきらめてしまってはいけないと思います。あきらめや「逃げ」はクセになりやすいのです。人間は楽をしたがる生き物ですから。
あきらめ癖のついた人間は、社会に出て親や保護者が守ってくれなくなってから、人より苦しい目に遭うかもしれないし、また集団のなかで「使えない」人間に見なされるかも知れません。
ですから、こだわることが大事なのです。たとえ成功しなくとも、あきらめず、こだわりつづけた末の失敗(不合格)ならば、人間としての大きな財産になります。
もちろん、やりたいことが見つかったために志望校を変更するのは良いと思います。
先日のW杯の日本代表のように、目標は高く、それにこだわって粘り強く戦うべきです。

実をいうと、僕は高3の夏前まで、標準的な全国模試で偏差値は50半ば程度でした。それでも自分を信じて夏休みに追い込み、秋の全国模試では3教科の偏差値が70まで上昇しました。結果的に現役のときは東大不合格でしたが、教師には東大は厳しいと言われながらも最後まであきらめず粘ったことが、あと数点で合格のところまで詰めれた要因であると思います。
そして、この粘りというか、あきらめの悪さが今でも活きていると感じます。

<大学生活についてお伺いします>

ざっくりですが、今のところ東大はどういうところですか?

周りの人間は当然、東大生で優秀なので、良い刺激を受けて学生生活を送ってます。良い意味で真面目な学生が多くいます。
ですが、「いかにも東大生(イカ東)」な人はそれほど多くなく、大半が普通の大学生と同じ感じです。
正直言って、他大学と比べたことがないので教授陣の善し悪しはあまりわかりませんが、学生のレベルが高いのが本当にいい刺激です。
視野の広い人や行動力に優れた人などが多くいて、自分も負けてられないと思えます。

大学生活では何がしたいですか?

勉強ですね。色々なことを広く深く学びたいと思ったのも、東大を選択した一つの要素です。東大は「教養学部」という特殊な学部により、一般教養に収まらない様々なことを勉強できるので、僕みたいな人間には最適の大学だと思っています。
また、多様な分野の人とのつながりをもち、大切にしたいです。それはいわゆる「コネ」という下心がないわけではありませんが、色んな分野の人間と将来に協力し合ったりすることで社会に大きな何かを成し遂げられるんじゃないかとも思いますし、単純に人とつながること、それ自体が嬉しいというのもあります。
そして、1年生の頃から色んな場所で色んな活動をしたいです。1年生で動くことに意味があります。

将来の夢は何ですか?

世の中に新たな価値を生み出すことです。
いつか教育や音楽、IT関係で起業して、日本や世界に新たな価値を供給する企業にするという野望があります。
しかし、それほど具体的な話ではないし、在学中あるいは卒業後すぐに起業するとも限ったわけではないので、これからゆっくり考えていくつもりです。

ちなみに、大学に入るまでは特に夢などは持っていませんでした。「でかくてかっこいいことをやりたい」くらいにしか考えてませんでした。
大学に入って、多くの人と接することで、だんだんと出来上がってきている、という感じです。

<東大ダイレクトのチューターとしてお伺いします>

東大ダイレクトは、今までになかった全く新しい遠距離個別指導システムです。この新たな試みについてどう思われますか?

主流になるかはわかりませんが、いずれ学校や塾・予備校に並んで教育の大きな柱の一つになると思います。今までの、例えば衛星授業などとは異なり、生徒が受信者であるとともに発信者であることが大きな価値です。
しかし、新しいからこそ考えることは多いと思います。たとえば、講師が大学生であることで保護者には信頼性が薄いんじゃないか?東大生には「できない子」の気持ちがわからないのではないか?などなど、そういったことを解決する、講師教育やコンテンツを考えることも必要じゃないかと思います。
他にも、これから色々と問題が出てくると思いますが、ひとつひとつ対処していきたいです。
先にも述べた通り、ネットによる即時性や情報の双方向性が潮流である今の時代に合ったサービスであり、新たに市場を開拓するものであると信じています。

このような遠距離個別指導を、どういう生徒さんに受講して欲しいですか?また中さんは生徒さんにチューターとしてどのようなことを伝えたいですか?

今までは情報の無さや地理的な要因などで埋もれていた、潜在的に存在する優秀な学生や、さらに上を目指したくて高度な授業を受けたいがそのような環境にない学生、あるいは、学校の授業についていけないが塾や家庭教師は苦手という学生にも受講していただきたいです。そもそも環境に恵まれた(例えば、都心に住んでいる)学生には、あまりニーズがないような気がします。
そのような、情報にあまり恵まれない学生に、僕が東大にきて知った世界の広さを伝えたいです。僕自身もいま世界を広げている最中ではありますが。また、先ほどの「こだわる姿勢」の大切さを伝えたいです。

最後に全国の生徒さんに一言よろしくお願いします。

受験は多くの人がぶつかる壁です。それは避けてしまえば何も障害ではありませんが、目標によってはどこまでも高い壁となります。しかし、それを越えたとき、人間として大きくなっているものです。東大ダイレクトとともにその壁を乗り越え、そしてその先にある広い世界を目指しましょう。

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